大切なこと
1995年1月17日阪神淡路大震災が起きた翌日、私はイギリスへ向かうため関西国際空港にいました。
度重なる余震に怯えながら、テレビに流れる信じがたい映像を見て、ただ涙が溢れて止まらなかったことを鮮明に覚えています。
空港のカウンターでは、いつもは沈着冷静かつ笑顔で従事されているであろう航空会社のスタッフの方たちも、余震がくるたびにキャーと声を上げる人がいたり、なかには座り込む人もいて度々業務が中断される状態でした。
そんな状態でありながらも、乗客には誰一人咎める人はいず、みんな温かい目で静かに見守っていました。
昨日まであたり前だったことが、ある日突然あたり前でなくなる。
スイッチを入れれば電気が煌々とつく、蛇口をひねればいつでも水が出る。
あたり前にごはんがおなかいっぱい食べられて、あたり前に行きたいところへ行ける。
あたり前に愛する人や家族がそばにいる。
そんな自由で快適な生活が一瞬でなくなる。
それは特別な誰かに起こることではなくて、誰にでも起こりうること。
それなのに、あまりにもあたり前すぎて自分には決して起こらないと根拠のない自信さえ持っている。
そして自分の身にそれが降りかかったとき、あたり前にあることは、本当はあたり前ではなく奇跡だということに初めて気づく。
普段は忘れがちなことだけど、ときどきは思い出して日々のあたり前を噛みしめることも大切なことだと今あらためて思っています。
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